【エルデンリング考察】DLC「SHADOW OF THE ERDTREE」のストーリーをわかりやすく解説!影の地・影樹・ミケラの十字の意味
DLCは二つの物語が重なった話です。一つは、神になるために肉体も、心臓も、愛さえも捨てながら影の地を進んだミケラの旅。もう一つは、マリカが神になる前に影の地で何をしたのか、という過去の物語です。影の地はマリカが「はじまりの罪」と「忘れ得ぬ憎しみ」ごと隠した場所であり、影樹はその暗い思いから生まれた、黄金樹の影でした。
DLCはどんな話?
本編で血の君主モーグを倒したあと、モーグウィン王朝に残された繭に触れると、DLCの舞台「影の地」へ渡ります。
繭の中にいたはずのミケラは、もうそこにはいません。ミケラは自分の体を捨て、影の地へ向かっていました。主人公はその足跡を追っていきます。
影の地では、ミケラの信奉者たちと出会います。針の騎士レダ、ミケラを追ってきた者たち。彼らもまた、ミケラが何をしようとしているのかを確かめるために旅をしていました。
物語の流れはシンプルです。ミケラの後を追い、影の地を進み、最後に神の門エニル・イリムで、神になろうとするミケラと、その王として迎えられたラダーンに会う。その道のりで、影の地そのものの過去、つまりマリカの過去が少しずつ明らかになっていきます。
影の地ってどんな場所?
マリカが神になる前に暮らしていた土地です。マリカの故郷である巫子の村も、ここにあります。
そしてマリカは神になったあと、この地を覆い隠しました。狭間の地の人々からは見えない場所になったのです。マリカの息子メスメルの追憶に、その理由がにじんでいます。
メスメルの中には、邪な蛇が蠢いていた 母は、その瞳を封印の祝福に入れ替え それでもなお、彼を影に隠した はじまりの罪と、忘れ得ぬ憎しみと共に
—— 串刺し公の追憶
はじまりの罪と、忘れ得ぬ憎しみ。 マリカが影の地に隠したのは、メスメルだけではありませんでした。神になるまでに犯した罪と、捨てきれなかった憎しみ。その全部を、この地ごと影に沈めたのだと思います。
マリカの出自と故郷の悲劇については、マリカの正体で詳しく書きました。
影樹って何なの?
影の地には、黄金樹とは違う大樹がそびえています。影樹です。その化身を倒すと手に入る追憶に、影樹の正体が書かれています。
影樹とは、黄金樹の影であった 律とは呼べぬ、暗い思いから生まれ それ故に脆く、ねじくれていた
—— 影輪草の追憶
黄金樹の影。律とは呼べない、暗い思いから生まれた樹。
誰の暗い思いなのかは書かれていません。ただ、影の地がマリカの「はじまりの罪」と「忘れ得ぬ憎しみ」を隠した場所だったことを考えると、影樹はマリカの暗い思いから生まれた樹だと読むのが自然です。
黄金樹がマリカの表の顔なら、影樹は裏の顔。表には律を、裏には律になりきれなかった憎しみを。マリカは二本の樹に、自分を分けていたのかもしれません。
メスメルは影の地で何をしたの?
マリカの息子メスメルは、母の願いを受けて影の地を焼きました。
母の願い、粛清の聖戦のために メスメルは自らを恐怖の象徴とした 嘆きも、呪詛も、ただ私だけを責めればよい
—— メスメルシリーズ(胴鎧)
焼かれたのは、影の地に住んでいた角人たちです。彼らはかつて、巫子の村の巫子たちをさらい、壺の儀式に使っていました。マリカの故郷の仇です。
メスメルは母の願いのために、すべての恨みを自分一人で引き受けました。それでもマリカは、彼を影の地に置き去りにしています。DLCでもっとも報われない人物の一人です。
メスメルについては、もう一つ大事なことがわかります。
メスメルもまた、その妹と同じように 火の幻視を宿していた
—— メスメルの種火
この「妹」はメリナだと考えられます。詳しくはメリナの正体で書きました。
ミケラは影の地で何を捨てたの?
ここがDLCで一番胸に刺さるところだと思います。
影の地のあちこちに、ミケラの十字と呼ばれる場所があります。全部で13か所。その前に立つと、刻まれた言葉が浮かび上がります。
刻まれた言葉が、心に浮かぶ 「我が最初の肉体を、ここに棄てる」
—— ミケラの十字
「我が左腕を、ここに棄てる」
—— ミケラの十字
「我が心臓を、ここに棄てる」
—— ミケラの十字
「我が瞳を、ここに棄てる」
—— ミケラの十字
ミケラは影の地を進みながら、少しずつ自分を捨てていきました。肉体、腕、心臓、瞳。そして、体だけではありません。
「我が迷いを、ここに棄てる」
—— ミケラの十字
「我が愛を、ここに棄てる」
—— ミケラの十字
我が愛を、ここに棄てる。
ミケラには、出会った者の心を自分に向けさせる「魅了」の力がありました。その力の元にあったのは、ミケラ自身の愛だったはずです。神になるために、ミケラはその愛さえ捨てた。
そして最後の十字は、神の門エニル・イリムの中にあります。
「全ての恐れを、ここに棄てる」
—— ミケラの十字
ミケラの大ルーンには、この旅の目的がはっきり書かれています。
ミケラは、影に隠された塔に向かった その黄金の身体も、力も、宿命も 全てを棄てて はじまりから続く因果を超えて 全てを抱く、新しい神になるために
—— ミケラの大ルーン
全てを抱く神になるために、自分の全てを捨てる。矛盾しているようで、ミケラにとってはそれが唯一の道でした。ミケラについてはミケラの目的で詳しく書いています。

ミケラの信奉者たちはどうなったの?
影の地でミケラを追っていた者たちの多くは、ミケラの魅了によって集まった人々でした。
針の騎士レダは、その筆頭です。彼女の剣には、こう書かれています。
かつて、騎士団の同志たちを貫いたその剣には 陰りなく拭われてなお、血の匂いがこびり付いている
—— レダの剣
ミケラのためなら、かつての仲間さえ斬る。それが魅了された者の姿でした。DLCの終盤、信奉者たちはミケラへの思いの違いから、互いに刃を向けることになります。
そしてもう一人、謎めいた存在がいます。聖女トリーナです。
トリーナは、謎めいている 儚い少女であるといい、少年であるといい 忽然と現れ、忽然と消えていくという
—— トリーナの剣
少女とも少年とも言われる、眠りの聖女。トリーナはミケラのもう一つの姿、あるいはミケラが切り離した半身だと考えられています。ミケラが神になるために捨てたものの一つが、トリーナだったのかもしれません。
最後に何が起きたの?
エニル・イリムの頂で、主人公はミケラと、その王として蘇ったラダーンに出会います。ラダーンの魂は、モーグの体を器にして呼び戻されていました。
倒したあとに手に入る追憶が、ミケラの願いの始まりを語ります。
幼き日、ミケラはラダーンに王を見た 脆弱な自分たちにはない、強さを そして優しさを だからミケラは純真に願った 私の王に、なってください
—— 神と王の追憶
そしてミケラの力の祈祷には、その願いの行き着く先が書かれています。
ミケラは、全てを受け容れ、抱こうと望み だがひとつだけ、そうできぬものを知っていた 絶対の神も、その王も 決して並び立つことはない
—— ミケラの光
幼い日に願った王と、神になったミケラは、並び立つことができない。愛を捨ててまで迎えた王は、もう対等な相手ではなかった。DLCの結末は、ミケラの願いが叶った瞬間に、その願いが壊れていたことを見せつけて終わります。
DLCで本編の何がわかったの?
DLCは新しい物語であると同時に、本編の謎の答え合わせでもありました。
| 本編の謎 | DLCでわかったこと | 詳しくは |
|---|---|---|
| マリカはどこから来たのか | 影の地の巫子の村の出身 | マリカの正体 |
| マリカはなぜ黄金律を壊したのか | 心の奥で「律無き黄金」を祈っていた | マリカの正体 |
| メリナは何者なのか | メスメルの「妹」、つまりマリカの娘 | メリナの正体 |
| ミケラは何をしたかったのか | 全てを抱く新しい神になり、ラダーンを王に迎える | ミケラの目的 |
| 狂い火の王は他にいたのか | 影の地に狂い火の王ミドラーがいた | 狂い火とは何か |
まだわからないこと
正直に書いておきます。
影樹が誰の暗い思いから生まれたのか。マリカだと読むのが自然ですが、テキストにはそう書かれていません。
ミケラが本当に神になったのかどうかも、はっきりしません。主人公に倒されたことで、ミケラの計画はそこで終わったようにも見えます。
トリーナの正体もそうです。ミケラと同じ存在なのか、別の存在なのか。DLCは多くを語らないまま終わりました。
そして、マリカが影の地に隠した「はじまりの罪」とは何だったのか。角人への粛清なのか、もっと前の何かなのか。DLCで答えに近づいたぶん、新しい謎も増えたと思います。